「 開発コンセプト ( 開発者のことば ) 」

MWSの開発に際しては、様々な職務に対応できるワークサンプルであること、職業能力を評価するだけでなく作業を行う上で必要となるスキルや職務遂行を可能とする環境 (補完手段や補完行動、他者からの支援等を含む) を明らかにすること、様々な様相で現れる職業上の問題に対応できるよう訓練課題としての機能も果たせることを、基本的な開発コンセプトとした。

「 MWSによる指導・支援の考え方 」

 a ) 試行とブロック

MWSでは、対象者の作業の結果を数値化して把握するため、各ワークサンプルの実施単位を定義しています。実施単位の最小単位を 1 試行と呼び、複数の試行数からなる集まりをブロックと呼んでいます。
MWSでは、対象者の状況に応じて、1 ブロックあたりの試行数を調整したり、単位時間あたりに実施するブロック数を調整することで作業負荷を変えることができます。

 b ) ABA法

MWSは、シングルケース研究法の中からABA法を応用しています。 まず、ワークサンプルの実施状況を評価します (A)。
続いて、指導方法 (B) や適切な補完方法 (C) の確定を目指します。
さらに、それらの指導の効果や補完方法の有効性を評価します(A’)。

Aをベースライン期 ( 訓練前の評価期 ) と呼び、各ワークサンプルを最初に実施した際に、どのような行動や結果が現れるかを観察・測定します。結果のフィードバックや特別な指導、補完方法の導入等は行いません。

B/Cをトレーニング期 ( 訓練期 ) と呼び、原則として、対象者が実施した作業結果を 1 試行ごとにフィードバックします。
1 試行ごとの実施の中でエラーが見られた場合には、「 リトライ 」や「 手がかりの付加 」等、訓練を実施します。
また、必要に応じて、個人の障害特性に応じた補完方法を用いて、どのように作業したらよいか指導します。
補完方法には、対象者自身が読み上げ確認を行うなどの補完行動と、指示書を活用するなどの補完手段があります。

A’をプローブ期(訓練後の評価期)と呼び、トレーニング期の効果を確認するため、結果のフィードバックを行わずに作業を実施する、再評価の期間です。 このプローブ期の結果から、トレーニング期の指導の効果や補完方法の有効性を確認することができます。

● MWSは、障害者職業総合センターにより「精神障害者等を中心とする職業リハビリテーション
 技法に関する総合的研究」で開発された「職場適応促進のためのトータルパッケージ」の
 成果物のひとつです。
● 複数の作業課題をご購入の場合には最低1つは −理論編− 付きをお求め下さい。
● 仕様は予告なく変更することがあります。




開発:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター
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